Homebrewとは、macOSやLinux上で動作するパッケージマネージャーの一つです。主にオープンソースソフトウェアや開発用ツールを簡単にインストール・管理するために使われます。
Homebrewの特徴
- 簡単なコマンド操作
brew install <パッケージ名>
のようにシンプルなコマンドでソフトウェアを導入可能です。 - ソフトウェアの管理
インストールだけでなく、更新(brew upgrade
)、削除(brew uninstall
)も容易に行えます。 - 依存関係の解決
ソフトウェアに必要なライブラリや関連ツールを自動的に解決して導入してくれます。 - 拡張性
「Formula」と呼ばれるレシピを追加して、自分で作成したソフトウェアや非公式のツールも管理できます。
主な利用シーン
- 開発者がプログラミング言語(Python、Ruby、Goなど)やツール(git、wget、nodeなど)を導入する
- システムに標準で入っていないユーティリティを簡単に利用できるようにする
- バージョン管理をしながら複数のソフトウェアを効率よく運用する
簡単にまとめると、HomebrewはmacOSやLinux上で「ソフトウェアの導入・更新・管理を効率化する便利なツール」です。
Homebrew 基本コマンド チートシート
インストール・アンインストール
- パッケージをインストール
brew install <パッケージ名>
- GUIアプリ(Cask)のインストール
brew install --cask <アプリ名>
- パッケージをアンインストール
brew uninstall <パッケージ名>
- GUIアプリをアンインストール
brew uninstall --cask <アプリ名>
検索・確認
- パッケージを検索
brew search <キーワード>
- インストール済みの一覧
brew list
- GUIアプリの一覧
brew list --cask
- 特定パッケージの情報を確認
brew info <パッケージ名>
更新・アップグレード
- Homebrew本体の更新
brew update
- インストール済みパッケージをアップグレード
brew upgrade
- 特定パッケージのみアップグレード
brew upgrade <パッケージ名>
メンテナンス
- 不要ファイルの削除(古いバージョンやキャッシュの掃除)
brew cleanup
- 不整合や問題をチェック
brew doctor
その他便利コマンド
- インストール先(prefix)の確認
brew --prefix
- パッケージのインストール先確認
brew list <パッケージ名>
- 実行ファイルの場所を確認
which <コマンド名>
「install / uninstall」「search / info」「update / upgrade」「list / cleanup」 このあたりを覚えておけば日常的には困りません。
Homebrewを使わないとどんな不都合が生じる?
Homebrewを使わない場合でも、ソフトウェアを導入することは可能ですが、以下のような不都合や不便が生じやすくなります。
インストールの手間が増える
- ソフトウェアを公式サイトからダウンロードして、インストーラを起動する、あるいはソースコードを取得してビルドする必要があります。
- そのたびに手順を調べる必要があり、特に開発環境を整える際に時間がかかります。
依存関係の管理が難しい
- 多くのツールは他のライブラリやソフトウェアに依存しています。
- Homebrewなら自動で解決してくれますが、自力でやる場合は必要な依存パッケージを一つ一つ調べて導入しなければなりません。
更新作業が煩雑になる
- Homebrewなら
brew upgrade
一発で複数のツールをまとめて最新化できます。 - 手動だと各ソフトの公式ページを確認し、新しいバージョンを個別にダウンロード・インストールする必要があります。
アンインストールや整理が面倒
- Homebrewを使えば
brew uninstall <パッケージ名>
ですぐ削除可能です。 - 手動の場合は、不要なファイルがシステムに残ってしまい、環境が散らかる原因になります。
開発環境の再現性が低くなる
- チーム開発や複数マシンでの環境構築では、Homebrewを使うことで同じ手順で環境を整えやすくなります。
- 手動導入だと、マシンごとにバージョンや導入手順がずれ、動作不一致が起きやすくなります。
まとめると、Homebrewを使わないと「インストール・更新・管理の効率が大幅に下がり、環境構築や維持に余計な労力がかかる」という不都合が出てきます。
HomebrewでインストールしたソフトウェアはMacのどこに配置される?
Homebrewでインストールしたソフトウェアは、通常は以下の場所に配置されます。
基本のインストール先
- Intel Mac (x86_64)
/usr/local/Cellar
に本体が置かれ、リンクが/usr/local/bin
に作られます。 - Apple Silicon Mac (M1, M2 など ARM64)
/opt/homebrew/Cellar
に本体が置かれ、リンクが/opt/homebrew/bin
に作られます。
ディレクトリ構造
- Cellar
実際のソフトウェアが格納される場所。
例:/usr/local/Cellar/git/2.42.0/
のように、ソフトごと・バージョンごとにディレクトリが分かれます。 - bin, lib, etc, include
/usr/local/bin
や/opt/homebrew/bin
にシンボリックリンクが作られ、実行可能ファイルがここから呼び出せるようになります。
これにより、ターミナルで単にgit
やpython3
と入力するだけで使えるようになります。 - Formulaによる管理
Homebrewは各ソフトの「Formula」(レシピ)をもとに、インストール先を統一的に整理しています。
まとめ
- 実体は Cellar に格納される
- 実行用リンクは bin に作られる
- Intel Macは
/usr/local/...
、Apple Silicon Macは/opt/homebrew/...
このため、環境をクリーンにしたいときや場所を確認したいときは brew --prefix
や brew list <パッケージ名>
を使えばどこにあるかを確認できます。
結論:Homebrewを使えば、Macのシステムを綺麗に保つことができる
Homebrewを使うと、ソフトウェアのインストールや削除、更新、不要ファイルの整理まで一元的に管理できるので、システムに無駄なファイルが散らからず、環境をきれいに保てます。加えて、インストール先が統一されているため、「あれ、このツールはどこに入れたんだっけ?」と探し回ることも減ります。
つまり、Macの中身を整然とした状態で維持しやすくなり、効率的でストレスの少ない開発環境や日常的な利用環境が実現できます。まさに「デジタル版・丁寧な暮らし」と言えるでしょう。